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従来数多く出まわる振袖や、売れ筋の振袖とは色や柄、こだわりも全く違うものでしたね。表現しにくい柄行きなので難しい部分もありましたが、クニエさんからの細かな指示をもとに様々な方法で再現していきました。オリジナル性を大事にし、既製品にはない自然な感じを出そう!と…。手抜きは一切できない本物志向で、柄のひとつひとつにこだわりました。モチーフを本物に近付けすぎると生っぽくリアルなるので可愛さをプラスすることにも心がけました。色や図案から伝わる独特の雰囲気は今までにないものだったので、各職人の気持ちも乗って制作に打ち込めました。「初ブランドで良いものを作りたい、しかも作ったことがないものである」いうプレッシャーがあったのでクニエさんからOKが出たときは作ってよかった〜!と喜びましたね。売れ筋の加工も入れつつ、どこにもないふりそで。カンバラクニエというアーティストがデザインしたイメージを崩さずに出来上がったのではないでしょうか。 |
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小物だけをピックアップして見てみると従来使わない派手な色目ですよね。長年、小物制作にたずさわっていますが「パステルでもなく、売れ筋色でもない。この色目は振袖に合わせられるのかな〜?」とクニエさんから提示された色を眺めながら半信半疑だったんですがふりそでとトータルコーディネイトすれば見事にハマったんですよ。派手な色も合わせ方によってふりそでに溶け込んだり、アクセントになったりしてね。クニエさん独自の色彩感覚はトータルでも世界観を出せるんですよ。改めて小物は重要な要素である!と思わされましたし、こちらも良い勉強になりました。丸ぐげに付けたパーツや各小物への刺繍ロゴの施しなど、細かなところにもこだわっています。 |
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帯の大半は古典柄なのですが、クニエさんのデザインされた帯は斬新かつシンプルな柄だったので「すごくおもしろいものが上がるだろうな〜」と感じました。 シンプルで柄がごちゃごちゃしていないということは、帯の無地場が多く柄そのものがより強調されるので、失敗が許されない技術のいる作業でした。また、素材選びも慎重になりましたし、糸や箔も従来使っているものではなく特殊な材料を用いて仕上げています。 業界では「とじ」という様々な糸の織り方で平面的にならないようにも心掛けました。シンプルでどの振袖にも合わせられる帯に仕上がったので小物とのコーディネートも楽しくなると思います。 |